院長インタビュー

  • 現代人が体調を崩しやすい原因​

    かつてないほど豊かな現代社会。しかし、多くの人が不調を抱えて生きています。そのひとつが花粉症や喘息、アレルギーなどのアレルギー疾患です。アレルギー疾患の患者さんは年々増加傾向にあり、最近では小学校低学年の児童にまで花粉症が見られるようになっています。一方で、アフリカなどいわゆる発展途上国では、アレルギー疾患はそれほど見受けられません。​
    日本では第二次世界大戦後、食生活が大きく変化しました。米よりも小麦、魚よりも肉を食べる人が増え、手軽を謳ったファストフード店もあちこちで見られるようになっています。
    しかし、欧米食で使用される小麦のグルテンや牛乳のカゼインは、消化されにくい蛋白成分で分解されにくく、腸管を炎症させて腸漏れを起こし、アレルギー反応や炎症反応の原因になるほか、腸のバリア機能を低下させる原因になると考えられています。また、ブドウ糖果糖液糖、植物油ではリノール酸の多いW6油、マーガリンに含まれているトランス脂肪酸などが炎症を増長させる食事をするようになりました。​
    このように、米を中心とした日本古来の食生活が薄れ、欧米化した食生活が日本人の日常になったことが、日本人の不調の大きな原因になっているのです。​

  • 食生活によって病気は変化する​

    近年、昭和時代に見受けられなかった難病が急増しています。例えば、昭和時代はなじみのなかった潰瘍性大腸炎やパーキンソン病も非常にポピュラーになり、約30年間で約20倍に増えました。また、摂取しているエネルギー量が十分に足りているにも関わらず、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの身体に必要な栄養素が不足している新型栄養失調が増加しています。​
    がんに関して述べると、昭和60年頃は10万にあたりの死亡者数が米国の約6割でしたが、約20年前から米国を抜き、米国の1.6倍になっています。その原因の1つには、小麦が挙げられます。日本の小麦は約90%を主に米国から輸入されています。農薬のグリホサートは、発がん性の恐れがあることから、米国やヨーロッパでは排除する動きも出てきています。しかし、日本向けの小麦に直接散布されている上、2017年にグリホサートの残留基準値を大幅に緩和したのです。
    ​食品添加物に関しても約1500種類が認められており、先進国の約10倍。また、マーガリンやショートニングのトランス脂肪酸、炎症を引き起こすリノール酸を多く含む天ぷら、サラダ油、そして砂糖や人工甘味料も発がんに大きな関連があることでしょう。以上から添加物、トランス脂肪酸糖分の入っている加工品のパンを主食にして食べるのは、大きなリスクになると考えられます。そして、現代人の原因不明の不調にも少なからずとも関係しているように推測できます。​

  • 当院で行っている栄養療法​

    がんや糖尿病、動脈硬化、皮膚のトラブル……。活性酸素が原因で起こる病気は数多くあります。まず活性酸素とは、人間が酸素を体内に取り入れ、エネルギーを生成するときに発生する物質です。活性酸素は、外部から侵入してくる菌・微生物を排除するなど、人間の体内にとって有益な物質である反面、その性質から体内の組織と反応して酸化させ、老化や様々な生活習慣病の原因になっています。​
    だからこそ当院では、体内にある活性酸素を減らし、老化や万病を予防する抗酸化療法をお勧めしています。この抗酸化療法は、糖尿病や認知症といった現代病の予防にも大きく関わっているのです。​

  • “抗酸化”で病や老化にブレーキを!

    抗酸化療法​

    病気や老化の一因は体の酸化と言われています。健康で若々しく過ごすためには、抗酸化力を高める必要があるのです。まず、「コウノメソッド」の米ぬかサプリ・フェルガードRは、日本認知症予防学会より初めて認定されたサプリメントです。アルツハイマー型認知症の原因と言われている、アミロイドβの蓄積を抑える報告があります。グルタチオン点滴も、3つのアミノ酸から成る抗酸化物質です。同点滴を行うと、ヨボヨボ・フラフラしていたお年寄りが体に油を差したように歩けるようになることが見られます。​
    さらに当院では、アーシングを勧めています。アーシング(アースは地球)は素足、素手で大地に触れ、体内に溜まった電気を大地に放電する治療です。体内に電気が溜まると、血流が悪くなることにつながり、結果、肩こりや腰痛、冷え、しびれ、ドライアイ、慢性湿疹など様々な症状を引き起こします。様々な電気製品に囲まれて暮らす中で、デジタルデトックスをすることは非常に難しいため、当院ではアーシングマット(4000円)を勧めています。アースされたマットに素足をのせるだけ。体に蓄積した電気を大地に放出し、そして地面を通してマイナス電子が体に入り、抗酸化してくれます。​
    また併設する老人ホームでは、全員がプロテイン、ビタミンC、Dおよび亜鉛のサプリを服用しています。痛み止めや抗アレルギー剤、塗り薬、湿布を使用しなくても、笑顔あふれる生活を送ることができるのです。 ​

  • 糖尿病治療​

    糖尿病の患者さんは毎年増加し、今や10人に1人以上となりました。摂取カロリーは50年前から低下、脂肪も20年前から減少しているのにも関わらず、糖尿病は増加の一途を辿っています。その原因のひとつが、マグネシウム(ミネラル)不足です。マグネシウムが不足すると、血糖を下げるインスリンがうまく効かず、血糖が上がりやすい体になってしまいます。そこで、日本旧来の食事、つまり魚や海産物、納豆、ゴマ、そば、麦などマグネシウムを豊富な食材を摂取することをお勧めしています。​
    特に麦は、水溶性植物繊維が豊富です。水溶性食物繊維は腸内細菌のエサで、腸内細菌が元気になりインクレチンが出ると、膵臓に作用してインスリンが効きやすくなり、血糖を上げるグルカゴンを抑制して血糖を上げにくい体になります。また、麦はセカンドミール効果があり、食べた直後だけでなく、次の食事のあとまで血糖値の急上昇を抑えることができます。インクレチンは糖尿病の薬として使用されますから、麦飯を食べることは糖尿病の薬を飲むことと同じ役割を果たすのです。
    ​当院では糖尿病の方に対して、砂糖、小麦(お菓子、パン、うどん、パスタ)をできるだけ減らし、主食は麦飯かオートミール、麺類は蕎麦を摂取することをお勧めしています。また、添加物の入っている加工品をできるだけ避け、野菜、肉、魚、卵などを使った伝統的な和食も効果的なのです。​

  • 認知症

    私は併設の老健施設および有料老人ホームの主治医をしております。施設の老人は認知を合併していることが多く、認知症は得意分野のひとつです。​認知症治療というと、CT、MRI、脳血流シンチなどの検査後、4種類の薬が使用されますが、日本人のエビデンスがほとんどなく、フランスでは医療保険の適用対象外になっています。認知症はもっと様々な要素が複雑に絡み合っているのです。
    ​認知症は第三の糖尿病と言われるだけあり、甘いもの好き、つまりお菓子、パンを食べる人はリスクが上がると推測できます。頭の中でブドウ糖がうまく使えずエネルギー不足を起こしてしまうのです。従ってMCTオイルは、脳でエネルギーに使われるケトン体を作るために効果的です。また、不穏で不安な人は鉄、亜鉛、銅バランスを整えることが大切とされています。実は、これだけで認知症が改善した例もあるほどなのです。不穏が強い場合は、「コウノメソッド」に準じて精神病薬のコントミン、セレネース、クエチアピンを投与していますが、鉄、亜鉛、銅バランスを整えるようになってからは使用量が減少しています。​重要なのは抗酸化療法です。「コウノメソッド」のフェルガードやグルタチオン点滴もそのひとつ。施設ではアーシングマットや水素茶を導入して抗酸化療法を行っています。​

  • 暮らしの中で出来るアドバイス​

    栄養や食生活は、病の直接的な解決にならないかもしれません。しかし、一生を通じての健康づくりの基本であり、アレルギーや生活習慣病予防の観点からも、幼少期からの健康的で主体的な食生活の形成が重要になります。​日本人の食生活は、第二次世界大戦以降約70年間で、米や野菜を中心とした旧来の食事パターンから、パンなどの動物性たんぱく質や脂質が中心の欧米スタイルへと、大きな変化を遂げました。これらの影響により、がん、心疾患、脳卒中、糖尿病などの増加が深刻な問題になり、これらの発症には栄養・食生活の関連も多く見られます。つまり、栄養・食生活を改めることがリスクマネージメントにつながるのです。
    ​旧来の日本人の食事はヘルシーで健康的です。炎症を促進させる小麦(グルテン)、乳製品(カゼイン)、植物油(リノール酸)、砂糖が少なく、一方で炎症を抑制する魚、大豆などの蛋白質を多く摂取することができます。また、海藻や味噌、豆腐などの発酵食品も豊富で、腸内環境を整え、免疫細胞を活性化させることにもつながります。つまり、日頃の食生活を日本人旧来の食事パターンに戻すことが、新しい時代の健康づくりのキーワードになるのです。​

  • 食事の原点回帰が
    健康への第一歩​

    現代は、ちゃんと食事を取っているのに、栄養が足りていない新型栄養失調の時代です。つまり、カロリーは足りているのにビタミン・ミネラルの微量栄養素が欠乏しているのです。
    なかでも、特にミネラルが重要です。生体内の化学反応は、酸素が重要で、酵素はミネラルを中心に、周りにアミノ酸が取り巻く構造をしています。つまり、ミネラルが不足していると、酵素が上手く働かず、結局体も頭もうまく働かなくなってしまうのです。
    必要な栄養素の1つである鉄は、体の中に3~5gほど含まれています。鉄が少なくなれば貧血を起こし、息切れ、体の疲れなどにも直結します。鉄はヘモグロビン以外にも体のエネルギーを作るミトコンドリア、神経伝達物質のドーパミン、セロトニン生成にも必要な補因子です。したがって、鉄が不足すると体や、頭のエネルギーが不足し、精神的に不安定になってしまうのです。なお、鉄の摂取は重要ではありますが、足りている場合は摂りすぎてはいけません。鉄は、炎症を起こす酸化作用があるため、摂取量には注意が必要です。
    ​次に亜鉛です。亜鉛は体内に2gほど含まれており、約300以上の酵素反応に関連しています。亜鉛は髪や皮膚の新陳代謝を活発するほか、抗炎症ミネラルでアレルギー疾患にも効果的です。なお、現代人は摂取が少なく、食品添加物が亜鉛を体内から排泄させるため、ほとんどの方が亜鉛不足に陥っています。​
    そして、マグネシウムです。体内に含まれる25gのうち60%が骨、40%が筋肉や臓器に存在しており、特に心臓や脳に多く含まれています。生活習慣病においても、マグネシウムを多く摂取すると血圧が下がり、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、大腸がん、骨粗鬆症などのリスクも減少します。​
    最後に、ミネラルを摂取するために、麦飯、そば、オートミールをお勧めします。そして3点セット(納豆、ごま、海藻)をできるだけ毎日接種しましょう。煮物や汁ものの出汁は、電動ミルで煮干し、鰹節、昆布、干し椎茸を粉末にしてブレンドしたものを使用してみてください。​

    以下、食事療法の要点です。

    食事療法の要点​

    • 1小麦(パン、うどん、ラーメン)を主食として毎日食べない。主食は2-3割の麦飯、そば、オートミール。​
    • 2乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)を毎日食べない。
    • 3お菓子、甘い飲み物(砂糖、ブドウ糖果糖溶液、人工甘味料)を控える
    • 4納豆、卵は一日2−3個、魚、鶏肉、豚肉など毎食蛋白質を食べるように
    • 5三点セット(納豆味噌、海藻、ゴマ)は毎日
    • 6出汁は煮干し、鰹節、刻み昆布、乾燥椎茸の粉末で
    • 7加工品をできるだけ避け野菜、肉、魚、卵などの生鮮食品を使った伝統的な和食